水槽の脳

戯れ言

甘くて奇麗で虚ろで退屈 去りゆく季節にお別れの花を

4時中途覚醒

寝室にマッマが入ってきて、その気配で目覚める。

ぼくがベランダを開けて眠っていたら風邪をひいてしまうのではと心配して様子を見にきてくれたそうです……

ううう……

ぼくは僅かな気配でも起きてしまうからこそ部屋のドアを閉めて家族をシャットアウトしているのに……

有難いけど中途覚醒させるのはあんまりだよう。

生活リズムが直ってきてるのにたまったもんじゃなかったっす……

マイスリー5t追加。

サウスパークを観ながらおやすみなさい。

無事眠ることができて、眠いながらもなんとか朝7時半のアラームで起きることができました。

やっぱりなんだかいけるんじゃないかと思い直して、コンサータを2t飲みました。

そして今日のブログはめちゃくちゃ長文です、覚悟してお読みください。

 

つい最近DCファンドームでの質疑応答で「Fuck.Marry.Kill.ゲーム」(セックスしたいのは誰か、結婚したいのは誰か、殺したいのは誰か、を答えるゲーム)をハーレイ・クインがしたそうです。

アニメ「ハーレイ・クイン」は日本ではYouTubeで第1話しか観ることができませんが、アメリカでは普通にテレビで放送されています。

う、羨ましい……!

MARVELと比べると人気がないと言われがちですが、MARVELはひたすら俺TSUEEEEEEなだけのストーリーなのに対してDCは全体的に暗いものの深くて文学的な感じがするのでぼくは断然DC派です!!!

アニメ「ハーレイ・クイン」ではハーレイ・クインがJOKERと別れたあとポイズン・アイビーといい感じになって、その後付き合っているそうで……

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観たい観たい観たいよう!!!!!

サブスク限定配信で構わないので日本でも観られる日がくることを待ち望んでいます。

ちなみにハーレイ・クインがセックスしたいのはワンダーウーマンで殺したいのはバットマンとスーパーマン、結婚したいのはポイズン・アイビーだと答えたそうです。

なにそれ最高か!!!

めっちゃ盛り上がっただろうなぁ……

いいなぁアメリカのDCオタクたち……

 

さて、本日は6回目になるリップヴァンウィンクルの花嫁を鑑賞しました。

相変わらずカメラワークがめちゃくちゃに美しいです。

さすが岩井俊二監督。

カメラのフィルター越しに空気の粒子まで写っていそうな美しいカメラワークができるひとは、世界中探しても岩井俊二ただひとりだと思います。

第一章から第二章へ移り変わる瞬間が本当に不思議の国のアリスでアリスが白兎を追いかけて不思議の国に迷い込むシーンのようだ、と毎回思います。

リップヴァンウィンクルの花嫁は構成上大まかに四章に分けることができます。

映画のはじまりは街の雑踏の中で七海(黒木華)がインターネットで出会ったひとと初めての待ち合わせをしているシーンです。

そして交際は表向きはトントン拍子にすすみ、七海の両親がとうに離婚をしていることを伏せたまま結納をし、ふたりは豪勢な結婚式を挙げます。

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大体のひとにとっては人生で最も幸せな一日に数えられるであろう日なのに、七海はどこか上の空で強ばった表情をしています。

実は七海は結婚式に招待する親族や友人が少なく、SNSで知り合った安室と名乗るなんでも屋の男性(綾野剛)に依頼し、夫や夫の親族には内緒で偽の親族や友人たちを雇って招待していました。

でもそれだけが理由でなく、七海は余りにも簡単に手に入ってしまった結婚や夫や幸福らしきものになんとも言えない空虚な感情を抱いていたのかもしれません。

そして式の前にそんな胸の内を密かに吐き出していたSNSアカウント(クラムボンというユーザーネーム)を夫が発見し、七海とは確信していないもののかなり疑った様子でクラムボンへの暴言を吐いていたので、それもまた七海の表情が強ばってしまった原因のひとつかもしれません。

終始オドオドとした態度で夫と接しており、普通なら幸せなはずの瞬間にこれっぽっちも幸せそうでない七海の表情が印象的です。

新婚生活が始まってすぐ、夫の浮気疑惑が持ち上がります。

安室に浮気調査の依頼をする七海。

安室との会話の中で未だクラムボンが七海本人だと夫に疑われているが為にSNSのアカウントを変更しユーザーネームをカムパネルラにしたことを告げています。

その後、弱っている七海に追い討ちをかけるように自宅に七海の夫が自分の彼女と浮気しているのだと主張する男性が訪れます。

静かに崩れ落ちる七海。

その後夫が帰宅しても問い詰めることさえできません。

後日、自らの彼女と七海の夫が浮気しているのだと主張する男性に呼び出され、七海はホテルへの一室へと向かいます。

そこでその男性に襲われそうになってしまうのですが、何者かによってその部屋がいくつもの隠しカメラで撮影されている様子が伺えます。

トイレの中からSNSのメッセージ機能にて安室に助けを求める七海。

シャワーを浴びると言って時間を稼ぐようアドバイスされ、本当にシャワーを浴びながらひたすら安室の到着を待つ七海。

安室が到着するなり襲おうとしていたはずの男性は安室に対し親しげにオネェ言葉で話しかけ、お疲れと声をかけ部屋を出てゆきます。

部屋に仕掛けていたいくつもの隠しカメラを大慌てで取り外す安室。

七海は嵌められていたのです……

夫の実家に法事で帰省した際、義母に結婚式の際に偽の親族を参列させたことや七海の両親が本当は離婚していること、ホテルで襲われそうになった際の写真や「シャワーを浴びてきてもいいですか」と言ってシャワールームへと逃げた際の音声つきの映像を見せられて逆に浮気疑惑をかけられてしまい、信用出来ないので二度と息子に会わないようにと念押しされて実家に帰りなさいとタクシーを呼ばれて追い出されてしまいます。

東京の自宅に戻るなり夫からの着信があり、七海が浮気をしていること(そう思いこんでいる)や七海の両親が離婚していることを黙っていたこと、偽の親族を式に参列させたことを一方的に責められ弁解する余地も与えられずとりつくしまもないまま離婚しよう、家を出て行ってくれと告げられます。

七海はスーツケースふたつだけを持って家を出て、あてもなく彷徨います。

そこで安室から浮気調査の件で話がある、と七海に着信があります。

「わたし、どこへいけばいいですか」

とパニックになり子供のように泣きじゃくる七海。

ここまでが第一章です。

七海は住むところを失ってしまったので、安宿に部屋をとりそこで暮らしはじめます。

清掃にやってきた女性に声をかけ、その安宿で清掃の仕事をはじめます。

そんな七海の元へ安室はお弁当を差し入れてくれ、一緒にお弁当を食べながらホテルで襲おうとした男性は恐らく別れさせ屋である、七海は嵌められたのだと語り、その別れさせ屋を雇ったのは義母であると嘘を告げます。(いや、義母が別れさせ屋を雇ったのは真実かもしれませんが、その別れさせ屋なんでも屋である安室本人だと推測できます。)

そして七海が依頼していた夫の浮気調査の結果は浮気こそしていなかったものの実は義母が週に2日も東京まで泊まりにきては親子でこっそり食事をとっていたこと、七海が家にいないときには自宅にも義母が来ていたことを告げられます。

泣きながら弱々しく怒りを表現する七海と、軽薄な様子で同調する安室。

そして七海は安室に結婚式での偽の友人役のアルバイトを紹介されます。

そこで七海と一緒に家族役として式に参列した5人は意気投合して、みんなで焼肉を食べに行って語り合い楽しい時間を過ごします。

別れを惜しみつつ家族役を演じたみんなと別れ、その中で帰り道が同じだという、より仲良くなった売れない女優をしているという真白(Cocco)とSNSで繋がります(因みに真白のSNSのユーザーネームはリップヴァンウィンクル)。

2人でピアノを生演奏してくれるカラオケバー(?)のようなところで二次会をします。

お酒も手伝ってかふたりの距離は近く、七海はどこか楽しげに森田童子のぼくたちの失敗を歌います(ピアノを演奏しているのはRADWIMPS野田洋次郎)。

真白も松任谷由実の何もなかったようにをしっとりと歌い上げます。

終始楽しそうな七海と真白。

泥酔しながら帰路につく七海と真白ですが、雑踏の中でふたりははぐれてしまいます。

すぐにSNSで真白にメッセージを送る七海。

しかし真白からの返事はありませんでした。

ここまでが第二章。

安室が新たなアルバイトを紹介しに、休憩中の七海の元へとやってきます。

なんと1ヶ月に100万円もの破格の給料が貰えるという、住み込みのメイドの仕事だといいます。

すぐにアルバイトをやめる訳にはいかないと戸惑う七海(恐らく怪しんでもいる)を、安室は「なるほど。じゃあホテルにはぼくがフォローをいれます。いきましょう。」と強引にホテルに戻るようそそのかします。

そして安室はロビーに入るなりいきなり土下座をし、妻に家出されてしまった夫というストーリーをでっちあげ、かなりの額の支払いをして職場の人と七海を煙に巻いてしまいます。

安室の突飛な行動に驚いた七海は雰囲気に流されたまま車に乗せられ、そのまま豪奢な洋館へと辿り着きます。

豪邸っぷりに驚く七海に安室はこの洋館は元々レストランだったものをオーナーが買い取ったものの、そのオーナーは海外暮らしをしている為現在は空き家で住み込みで働くメイドの仕事であると説明します。

「そんな虫のいい話があっていいんですか」と訝しがる七海に「そんな虫のいい話を仕事にするのがぼくの仕事です」と笑いながら話し、もうひとり住み込みのメイドがいることを告げます。

家の中はパーティーをしたあとのような酷い散らかりようで、沢山の衣装とベッドだけがある部屋や沢山の水槽の中に海月やエイや蠍がいるだけのペット専用の部屋もありました 。

その日から七海はその洋館に住み込みで働くことにし、夜になると沢山のメイド服の中からシックでベーシックなタイプのものを選んで身にまとい、そのままベッドで眠りについてしまいます。

眠っている七海に馴れ馴れしく声をかけて起こす女性。

なんと、もうひとりの住み込みメイドとは真白のことだったのです。

予期していなかった再会に驚き中々状況が掴めない様子の七海でしたが、それは嬉しい偶然でした。

ふたりは親しげに手を繋いだまま、真白が七海に洋館の中を案内します。

朝までお酒を飲んでいたという真白はそのままベッドで眠ってしまいます。

ひとりでせっせと掃除をする七海。

電話で「もうひとりのメイドが真白さんでよかったです。ドラマだとメイドの先輩は怖いじゃないですか。」と喜びを隠せない様子で伝える七海に、安室は「真白さん、怖いですよ。大丈夫ですか。」とからかいます。

そして七海は安室が手配した海月などのペットの世話の仕方を教えにやってきた業者に、「ここにいるのは全部毒があるので触らないでください」と念押しされます。

夜になって起きてきた真白は七海に簡単な料理を作ってふるまい、この洋館の主であるふたりの雇い主はどんなひとなのだろうと予測し合います。

翌日、安室が焦った様子で「オーナーの荷物が届いていないか」と先日の業者を引き連れやってきます。

真白宛に荷物が届いていたけれど冷蔵っぽかったので冷凍庫にいれました、と七海が答えると2人はバタバタと洋館になだれ込みます。

届いた荷物は新たなペット、ヒョウモンダコという小さなタコでした。

河豚と同じ毒をもっていて噛んでくるので絶対に触らないようにと注意喚起をされる七海。

安室が「真白さんと一緒にいてどうですか?」と尋ねると、七海は「楽しいです」と答えてはにかみます。

庭の木々に水やりをしたり、買い物に行ったり、一緒に歌を歌ったり花火をしたりといきいきとメイドの仕事と二人暮らしを楽しむふたり。

その翌日、何故か水槽だらけのペットの部屋のソファーで眠る真白を七海が発見します。

声をかけるも反応はなく、電話がかかってきても起きられないままの真白を心配した七海は真白の携帯で真白のマネージャーと話すことになります。

高熱をだしている真白を病院へ連れていくことになり、真白をおんぶした七海は真白の余りの軽さに不安と驚きを隠せませんでした。

病院へと運ぶ車の中で漸く目覚めた真白は、現場に行かなければならないと泣いてパニックを起こし無理矢理車から降りてしまいます。

ふらふらなのに仕事をすると言い張り、スタッフのひとに両脇を抱えられながら現場へと向かう真白を心配そうに見守る七海。

マネージャーが洋館へと七海を送る道中で真白が最近10kgも痩せて仕事に支障がでていること、そしてその仕事とはAV女優であることをあけすけに語ります。

七海は真白の本当の職業がAV女優であることを知ってしまいました。

洋館に着くと、マネージャーはその洋館が撮影スタジオであり現在は真白の住処であること、また洋館の家賃が高額で真白は破産寸前なことを話し、それらを真白には言わないようにと口止めをします。

現実を受け入れられず暫し呆然と立ち尽くす七海。

ベビーシッターの仕事中であろう安室に七海が電話をかけ、「真白さんはAV女優なんですか?わたしは真白さんに雇われているんですか?」と静かなトーンで問い詰めます。

安室は真白には内緒にするようにと前置きした上で、「友達が欲しい、これがクライアントの依頼です。いきなり友達が欲しいというと不自然なのでメイドということにしました。」と説明します。

「どうしてわたしなんですか?」と食い下がる七海に、「友達になってくれると思ったからです。クライアントが誰かはご想像にお任せします。」と淡々と語る安室。

その夜、マネージャーに暫く仕事は休ませることにすると告げられます。

深夜に水槽に囲まれながら薬をお酒であおる真白に七海は「わたし、この仕事、やめます。」「だから、こんな家とか、わたしなんかに無駄遣いしないでください」「もっと、自分を大切にしてください」とゆっくりと言葉を絞り出すように話しながら静かに泣きだしてしまいます。

申し訳なさげに泣きながら謝る七海を愛おしそうに見つめ、何度も頬に口づけをする真白。

真白は「わたし、この涙の為ならなんだって捨てられる。」「命だって捨てられるよ。」と宣言し、再び何度も何度も七海の頬に口づけをします。

七海は真白に引越しの提案をし、ずっと一緒に暮らしたいと泣きながら告げます。

ふたりの間にはいつの間にか愛情が芽生えていました。

翌日、ふたりは仲睦まじく物件を探しに出かけます。

その帰りに偶然見つけたウェディングドレスショップに真白が強引に入りたがり、結局ふたりはドレスを試着することになりました。

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終始笑いあい冗談を言い合い、幸せそうなふたり。

記念撮影をしていきませんかと勧められ、ふたりはそのまま撮影に挑みます。

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二度目のウェディングドレスを着た七海は終始強ばった表情をしていた一度目のときとはまるで別人のように表情豊かで、心から幸福そうに微笑みます。

併設されているチャペルで撮影されているときに真白はおどけながらも丁重に七海の左手薬指に想像上の結婚指輪をはめるふりをすると、それを受けて喜んでみせる七海。

次に七海が結婚指輪をはめる仕草をすると、真白は今にも泣き出してしまいそうななんとも切ない表情をします。

一度目の結婚式のように参列者が大勢いる訳でもなく、たったふたりで臨んだ決して豪華とは言えないささやかで簡素なものでしたが、それは厳かな紛うことなきふたりの結婚式でした。

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ふたりはドレス姿のまま衝動買いしたアルファロメオに乗って帰ってゆきます。

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そして帰宅してからふたりきりでパーティーをはじめます。

食事を食べさせあったり、ドレス姿のままピアノを連弾したり踊ったり。

世界一幸せな様子のふたりの姿は息を飲むほど美しく、お互いがお互いを必要とし、愛し合っている様がひしひしと伝わってきます。

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ベッドの上でふたりは笑顔でじゃれ合いながら何度も軽い口づけを交わします。

「ねぇ、本当に結婚する?」「はい。してもいいかもしれないです。」「じゃあ結婚しよっか。」「はい。」「本当に?」「はい。」「酔っ払ってる?」「はい。酔っ払ってます。」と笑い合うふたり。

真白は突然自らの価値観を吐露しはじめました。

日常生活でのありとあらゆる優しさ(宅配のおじさんが重い荷物も自らが指定する場所まで運んでくれることやコンビニで買い物したときに丁寧に袋詰めしてくれること、本当に些細な気遣いに対する感謝)に押し潰されそうになってしまうこと。

簡単に幸せが手に入ると心が壊れてしまうから、だからせめてお金を払うことにしていること、ひとの真心や優しさが見えすぎてしまうと有難くて有難くて心が壊れてしまうからお金に置き換えて見なかったことにする、この世界は優しい、と話します。

そして「だってさ、この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」と結論づけます。

そしてまた口づけをして、「ねぇ、わたしと一緒に死んでって言ったら死んでくれる?」と切り出す真白。

「はい?」と聞き返す七海にもう一度、覚悟を決めたように「一緒に死んでくれる?」と尋ねる真白。

何度も何度も健気に無言で頷く七海に、「本当に?」と真白は問うたあと、「ばーか」と繰り返しながらたまらなく愛おしそうに七海を抱きしめ、「ありがとう」「こちらこそ」「愛してるよ」「わたしも。愛してる。」とふたりは抱きしめ合います。

不器用なふたりの愛は真っ直ぐすぎるが故に歪になってしまっているような、しかし絶対的な純愛であるというアンビバレントな印象を受けます。

その翌日……

安室が洋館を尋ねると玄関に葬儀屋だと名乗る男性が待ち構えており、安室とその男性は一緒にふたりが眠る寝室へと向かいます。

七海を後ろから抱きしめて眠っていた真白に触れた安室は冷たいと呟き、実は真白は末期癌で余命幾ばくもなく一緒に死んでくれるひとを探して欲しいと1000万円で依頼を受けたこと、恐らく七海はなにも知らずに一緒に死んでいったであろうと葬儀屋に語ります。

安室と葬儀屋が話していると七海が目を覚まし、七海が死んでいるものとばかり思っていたふたりは狼狽します。

安室がしどろもどろに昨夜、真白から今晩死ぬと連絡があったので心配して来てみたのだと説明すると、七海はふたりの制止を振り切り何度も真白に触れ叫びながら「真白さん」と悲痛な声で名前を呼び続けます。

作中で一番の動揺をみせ、半狂乱になる七海。

真白の葬儀には結婚式で一緒に家族役を演じた仲間たちや真白の友人であるAV女優たち、勿論安室も参列しました。

しかし真白の母親(りりィ)の居所を突き止めたはいいものの、遺骨は受け取らないと言われてしまったことが告げられます。

安室と七海はふたりで真白の実家を尋ねることに……

3人でお酒を飲む流れになり、真白の母親は生前の真白に迷惑をかけられた話やAV女優になったことへの憤りや困惑を独白しながら服を脱ぎ始め、遂には全裸になって「こんなの、人前で裸なんて、やっぱり恥ずかしいだけだ」と呟いたあと大きな声をあげて泣き出してしまいます。

すると突如感情が決壊してしまったかのように作中で初めて感情を露わにして声をあげながら泣き崩れる安室。

遂には安室まで全裸になり声をあげて泣きながら「超恥ずかしいっすお母さん」と言い、真白の遺影の前でお酒をおおる母親と安室、そして少し離れた場所でひとりだけ服を着たまま凄い勢いでお酒をあおる七海。

ここまでが第三章。

場面は変わり、どこにでもあるようなありふれた普通のアパートの一室に七海はスーツケースふたつを運び入れます。

どこか吹っ切れたような穏やかな表情の七海。

軽トラにたくさんの家具を乗せてやってきて引越し祝いとしてどれでもプレゼントすると言う安室。

安室なりのせめてもの罪滅ぼしなのかもしれません。

家具を運び込みふたりはまた、と言って分かれますが二度と会わないような雰囲気を感じさせます。

七海はベランダから外の景色を眺めつつ左手の薬指にはまっている想像上の結婚指輪に愛おしそうに口づけをする素振りをしてみせ、その想像上の指輪を空にかざします。

様々な出来事を目まぐるしく経験し、ひととして随分と成長した七海が新生活を始めようとするところで物語は終わりを迎えます。

 

……随分長く詳細に解説してしまいました。

小論文じゃあるまいに。

まぁそれほどの熱量をもって観なければならない映画です、なにしろ2時間59分もあるので。

次々に問題が起きて物語は走り続けるので体感ではそんなに時間を感じさせないような構成にはなっていますが、それでも大体の映画に換算すると二本分なのでやはりそれなりの気力を必要とする映画です。

真白は最初、本当に七海を道連れにする予定だったのだと思います。

結婚式での偽の友人や家族と同じように、序盤~中盤にかけての七海は「替えのきく存在」であったのだと思います。

けれど七海と接するうちに真実の愛に目覚め、真白の中で七海は「替えのきく存在」ではなく、「かけがけのない存在」になってしまった。

そして真白がいうところの「優しさに押し潰される」ことへの恐怖から結婚式をしたその日の晩に自殺を決行したのだと思います。

幸せを恐怖に感じてしまうほどに鋭敏すぎる感性を持った女性である真白を演じるのは、やはり同じように全身から繊細さを醸し出すCocco以外に有り得なかったように思います。

真白はAV女優として「替えのきく存在」ではないという誇りの為に、癌の治療を放棄しました。

仕事ができなくなることを恐れた為です。

そして「替えのきく存在」と言えば七海の元夫があげられます。

とても簡単に手に入ってしまった、コンビニエンスストアで購入したなんでもないような「物」と同じような存在であった元夫。

そこに愛はなく、まさに「替えのきく存在」の代表的な人物であったと言えます。

ありとあらゆる状況で流されまくり安室に騙され続け最後には最愛のひとを亡くしてしまう役どころの黒木華は、素朴な可憐さが七海役にぴったりでした。

Coccoの強く儚い者たちという曲がありますが、黒木華からは本当に強いとも儚いともどちらともとれる相反する雰囲気を持ち合わせています。

正直この作品を観るまでは特に黒木華に興味が湧かなかったのですが、今では大好きな女優のひとりになりました。

黒木華を花に喩えると薔薇のような派手さは決してないものの小さく可憐ながら実はしっかりと美しい、かすみ草だと思います。

可憐さの中に芯の強さもあるような、不思議な魅力を持った女優さんだと思います。

そしてなにより、安室役を演じた綾野剛は凄まじかったです。

あんなに難しい役どころ、中々ないんじゃないでしょうか。

最初から最後まで七海を騙し続け上っ面だけの言葉や嘘を並べたて続け、真白からは多額のお金を受け取り無理心中相手として七海を差し出し、しかし真白の母親の呟きに絆され初めて人間らしく感情をぶちまけ咆哮する安室。

安室は根っからの悪人ですが、それでも少しはひとの心が残っていたのでしょう。

しかし真白の実家のシーンで全裸になった真白の母親と安室は真白の上っ面(AV女優という職業)の部分しか見ていなかったように感じられます。

その実、真白の実家で母親が話した真白のエピソードはAV女優という職業についたことを恥じて疎ましがったりする割には真白からの仕送りを期待していたかような辻褄の合わないものでした。

そして安室と真白の母親は真白からそれぞれ報酬、遺産といった形でお金を受け取っています。

つまりふたりは真白の死によって得をしたひとたちなのです。

真白の本質を知らないまま、脱ぐことだけが真白のアイデンティティであったかのように感じとり、全裸になり真白に共感して理解したつもりになって涙を流したのだと思います。

七海だけは真白の職業で判断することなく人間性を見ていた真の理解者でした。

だから七海だけは頑として服を脱ぐことはなかったのだと思います。

裸になることだけが真白のアイデンティティではないと知っているから。

そこから推察するに、もしかしたら世間体など無視してなんの打算もないまま真白に初めて本物の無償の愛を注いだのは七海だったのかもしれないと思います。

七海にとって真白と過ごした日々は間違いなく、かけがえのない幸せな日々であったのでしょう。

 

……とまぁここまで語り尽くしてもうすぐ10000字になります。

一日がかりで書きあげました……

物凄い達成感だ……

これ書くのも大変だけど読んでくれているひとも大変だよなァ。

これからはもう少しタイトなブログにしたいと思います。

 

さて、熱がでているので今日はぐっすり眠りたいと思います。

本日のおやすみメニュー。

メラトニン20mg.5-HTP.テトラミド30mg.ハルシオン0.5mg.サイレース4mg.

 

おやすみ、世界。